夏に現れた奇跡 ―― ホセ・ホセ『El Triste』
- lifesound
- 7月14日
- 読了時間: 3分
更新日:4 日前
夏の強烈なエネルギーが満ちるこの季節。
だが、ある音楽が鳴り響いた瞬間、私はその夏の暑さすら完全に忘れてしまう。
いや、「忘れる」のではない。
聴いている私自身が、その音楽の熱さそのものになってしまうのだ。
それほどの奇跡を起こしてくれた一曲がある。
それは、イル・ヴォーロが歌う『El Triste』。
初めてこの映像を見たとき、私は「歌が上手い」という言葉を失った。
気がつけば、その世界へ引き込まれ、胸の奥から何とも言えない感情が込み上げてきた。
『El Triste』は、「悲しき男」という意味だそうだ。
内容は失恋の歌。
だが、日本の失恋歌とは少し違う。
深い悲しみを歌いながらも、決して絶望しない。
私には、悲しみを受け入れ、その悲しみとともに一人で生きていこうとする静かな意志が聴こえてきた。
ホセ・ホセは、歌詞を歌っているのではない。
人生を歌っている。
主人公の悲しみや苦しみが、そのまま私の心へ流れ込み、気がつけば私自身が主人公になっていた。
『El Triste』は、ホセ・ホセが22歳で歌い、その名を世界へと広めた代表曲。
そして約40年後。
その歌を歌ったのは、18歳、18歳、19歳のイル・ヴォーロだった。
2013年、ラテン・ビルボード・ミュージック・アワード。
若き3人は、一音一音に深い敬意を込めて『El Triste』を歌う。
何より幸運だったのは、その場にホセ・ホセがいたこと。
決して万全な体調ではなかったはずだ。
それでも客席から静かに見守り、終始、あたたかな笑顔を浮かべていた。
その笑顔を見ていると、私には若き日の自分を重ねているようにも見えた。
あるいは、自分が人生を懸けて歌ってきた『El Triste』を、若い世代がこれほどの敬意をもって歌い継いでくれたことへの喜びだったのかもしれない。
その答えは、ホセ・ホセだけが知っている。
ステージの後ろには、若き日のホセ・ホセがいた。
客席には、今のホセ・ホセがいた。
その二人が、同じ空間に存在している。
それだけで涙が込み上げてくる。
歌が終わる。
その瞬間、私にはホセ・ホセが「Gracias」と語りかけているように見えた。
自分の歌を、これほど大切に歌い継いでくれて、ありがとう。
そんな思いが、その笑顔から伝わってきた。
そして彼は立ち上がり、惜しみない拍手を送った。
もし、あの頃の歌声で、イル・ヴォーロとともに歌えたなら……。
そんな思いが、私の胸にも込み上げてきた。
イル・ヴォーロは、歌を歌ったのではない。
ホセ・ホセという一人の偉大な歌手へ、心からの敬意を歌った。
そしてホセ・ホセは、歌えなくても、その存在だけで、あの会場の感動を何倍にも大きくしていた。
あの日のステージは、イル・ヴォーロだけでは生まれなかった。
ホセ・ホセがいてくれたからこそ、生まれた奇跡だった。
この偉大な存在に出会えたこと。
それは偶然だったのか、それとも必然だったのか・・・・・・・。
ホセ・ホセが歌う『El Triste』。
私にとって、光であり、奇跡。
ありがとう、ホセ・ホセ。
そして、ありがとう、イル・ヴォーロ。
今回も吠えてしまいました。それだけのエネルギーを受けるので、制御不能です。再びご容赦のほどよろしくお願います。



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