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あれこれ


先日コメントを頂いた方から刺激を受けて古い記憶が蘇って来ました。

店主も還暦を超えて4年が経過したので死亡率も高くなっていることでしょう。

そこでLP再生との経験の一部を呟き残しておこうと思います。


以前にも呟きましたが、ある時銀座のヤマハへLPを買いに行くと、LPが何処にも無かったことがありました。CDばかり。「エーーーーー!」と心の中では大騒ぎしました。

幼少の頃よりレコードに親しみ、大学生になって初めて買ったオーディオシステムでも

レコードを楽しんで来たので、かなりなショックでした。

カートリッジをあれこれ交換して楽しんでもいました。


CDなんて!とかなり馬鹿にしていました。


しかし、ある時期、かなりなオタクなレコードマニアというか業者と知り合い、その工房にお邪魔しました。

ベルトドライブプレヤーを何台もラックに積み重ね回していました。

その理由はプレーヤーのベルトの状態が悪くなるといけないので常に回しているとか。

再生していなくても回しているということでした。

それは涼しげに回っていて爽やかな印象を受けました。

さらにステレオカートリッジを使っているのに、片チャンネルだけで再生しているのです。

理由を聴くとステレオカートリッジは左右のバランスが悪いからだそうです。


そこでの体験では、こんなにしないとアナログ再生は楽しめないのかと思わされました。

最後はさらにCDなんて聴けないよとも言われていました。


でもステレオ再生で楽しみたいのにアナログ再生は片チャンネルだけでしか楽しめない?

それも???と思いました。まだ何も知らない時期なのでそんな感じでした。


その時は、それから数年して自分がオーディオの仕事に携わるなど考えてもいませんでした。

仕事としてオーディオを始めた当時のCD再生の問題はかなりあり、それでもステレオ再生で楽しみたいと思いCD再生の問題解決に取り組んできました。


途中でアナログ再生にも力を入れて、最高に嬉しかったのはZYXのカートリッジとの出会いでした。これはアメリカの神木社のメンバーから教わりましたが、超オタクの彼らはZYXのカートリッジをそのまま使うことでは不満を覚えていて、カートリッジ専用のボディを作り超カスタマイズして使用していました。

さらにアースの問題もあれこれされていて、日本の環境では不可能なようなこともしていました。

そして再生される音楽は素晴らしいものでした。アームはSACE407/23です。

バランスウェイトを彼らなりに直し使用していました。

サンフランシスコの空気環境もあり、音の透過性が良く何時までも楽しんでいられるサウンドでした。さらに所有しているディスクの数は1万枚を超えていました。(汗)

(その知り合いは2万枚を超えていました。)


しかし、ここまで凝らないと楽しめないアナログ再生は大変だなと思うと同時に、都市型住宅でのオーディオ再生を目的にしているライフサウンドでは、出来ることに集中しないとと

思うことになりました。


それからあれこれやっていましたが最近はアナログ再生からかなり遠ざかっています。

その理由の一つですが、近所に住宅が増えたことによる電波障害というか電磁波障害が厳しくなってきたことです。

ライフサウンドではカートリッジ、フォノイコ、フォノケーブル、ヘッドシェルまで作りました。

そして、それらを活かすトーンアームも歴史的な名機であるSAEC407/23を製作者であった故・田中進さんにお願いしてレストアをして頂き完璧な状態で使用していました。


一般的な話としてCD再生よりアナログ再生の方が音が良いという話があります。

確かに情報量は圧倒的にレコード盤に刻まれた情報の方が多いのは確かです。

しかし、アナログ再生の方が音が良いと単純には言えないところがあります。


アナログ再生における問題点はレコード盤の帯電つまり静電気の影響から歪んだ音になります。その音はヒステリックですね。


次にアナログ再生時にパチパチというスクラッチノイズがあります。アームのトレース能力が低いとスクラッチノイズがうるさいということがあります。


LP盤の内周に行くと歪が出る。(これはアームの能力とレコード盤の溝から来るものと言われています。)


ヘッドシェルの材質でも音が変化する。トーンアームに使われる素材でもそう。

フォノケーブルでもそう。


またターンテーブルを回すことによりゴロが出る。

カートリッジが摩耗する。


特許を持っているZYX社のカートリッジ以外、左右のバランスが正しく再生されない。

(しかし、DS AUDIOの光カートリッジは面白そうですね。)


最近のLP盤は昔のような職人芸を持った人がいないのでかなりレベルの低質な盤が多くなった。静電気対策が施されていないものが多いようです。


昔のアナログマニアではLP盤の製作された時期にも拘っていました。

1つのアルバムが製作され、その為に多くのLP盤が製作されます。

しかし、それが皆同じ質では無いというのです。


その正確な枚数目は忘れましたがレコードがスタンプされて作られている時に起きる問題を言われていたのです。それが初期ロットとその後のものでも音質が違うということにもつながります。


さらにレコード盤自体の重さでも音質が変わります。

重量級レコード盤に比べたらノーマル盤は音が軽いと言われてマニアからは敬遠されていることもありました。私も経験があります。CBS SONYのジョン・ウィリアムスのLP盤は妙に薄く軽いものでした。


店主が持っている古いレコードプレーヤーは、CECのベルトドライブ機構を持つ

CDトランスポートとCHORDのDACとの再生と比較すると、音が濁り過ぎて聴けたものではありません。

その一番の原因は付属のフォノケーブルにあります。


最近、YouTubeでアナログ再生を写している方の映像を拝見していました。

正確なことを言える条件ではありませんが、スクラッチノイズが酷かったです。

SACE407/23での再生は余程汚れたLP盤以外では焼き肉を焼いているようなスクラッチノイズが嘘のようにありませんでした。これはSACE407/23の製作者が言われていたことですがスクラッチノイズが出るのはトーンアームのトレース能力が低いからということです。

ということでアナログ再生で素晴らしい再生をするにはかなり厳しい道のりを経へないと

極上の再生にはなり得ないということになります。


そんなことを経験しながらも店主もあれこれ挑戦してみましたが、確かに極めたというと大げさですが、追い込んでみたときのアナログ再生は素晴らしいものでした。


しかし、儀式が面倒になってきてしまったのです。アームの上げ下げやLP盤の手入れが。

(子供の頃のプレーヤーには自動でレコードが何枚か重ねてセットして一曲が終わるとアームが準備位置にもどり、レコード盤が1枚落下して次のアルバムが再生されるというプレーヤーがありました。子供の頃はそれを使ってアナログ再生を聴いていました。)


またフォノイコを製作したとき、基盤に使われるネジの音でも悩みました。基盤の固定に使うネジの素材の音が再生音に乗るのです。

最後は製作に携わったエンジニアがネジを使わない方式で基盤を固定することにしました。

それによってネジの素材の金属音が再生音から消えてくれました。

またそれ以外にも様々な問題を乗り越えて製作した思い出があります。

ボディ素材の音を再生音に乗せないようにすること等


それからターンテーブルの駆動方式やターンテーブルへのレコード盤を載せる方式。

またリジット方式か、それとも適度なフローティング方式が良いかと選択をしなければなりませんでした。

マイクロの方式はレコード盤をターンテーブルに吸着させました。

CECの方式は適度なフローティング方式でしたが、比較するとCECの方が躍動感があり広がりのある再生が可能でした。マイクロは悪くはないのですが強制的にターンテーブルにレコード盤が吸着されることでがっちりした音になります。その代償なのか自然な響きが失われた感じでした。

またダイレクトドライブ方式ですとモーターから生まれる磁気の影響をカートリッジが受けるので好ましい感じではありませんでした。さらに振動ですね。

リニアトラッキング方式は美点もあるのですがアームが軽すぎで音が軽くて面白くなく却下となりました。中には糸ドライブのプレーヤーという超凝ったプレーヤーもありましたがちょっと大変でした。


店主は最終的には適度なフローティング方式のCECのベルトドライブプレヤー FR-XL1 を使うことにしました。アームはもちろんSACE407/23田中スペシャルです。


余談ですが(以前も呟いたと思いますが)、エンジニアの立場からの価値観を教えられたことがあります。優しくも厳しい田中進さんの仕事場にお邪魔した時です。リジットに徹底的に固められた凄いターンテーブルを見せられました。振動対策でかなり厚い金属で固められたターンテーブルです。

そのターンテーブルで再生してもオシロに現れる微妙な髭が消せないと言われていました。

それは振動のことです。完璧を目指されているエンジニアとしてとても許せないそうです。

それがあるうちは良い再生とは思えないそうなのですね。その部屋では10Wのボリュームで再生をされていました。10W?大した事ないのではと思う人は、何も分かっていないと言えてしまいます。大音量になります。16畳ぐらいの部屋でしたら。

その音量の中でオシロに現れる髭を消せないかと長年取り組んでおられたのです。


そこで大変失礼ながらひょっとしてと考えてある物を持参して、その強烈なターンテーブルにセットさせてもらいました。

すると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田中さんが長年取り組んでこられた髭が消えてしまいました。

今でも覚えていますが田中さんはしばらく呆然とされ立ちすくまれておられました。

そして「消えてしまった!」と一言呟かれたのです。尊敬してやまないベテランエンジニアであった田中さんが、その後も「何故なんだ!?」と無言でその原理をあれこれ考えられておられました。


そこで私が知る限りの原理の説明をさせて頂くと、「そうか!」と半信半疑ながらご理解頂けたような感じになったので、私が持ち込んだ物は差し上げることにしました。田中さんもしげしげとそれを見つめ触り、その理由をご自分で理解したいようにされていましたので。


ですからこのようなエンジニアの方からしたらパチパチと焼き肉音を立てるアナログ再生など、とても良いものではないということになります。


ということで、それ以外にも色々とあるのですがアナログ再生が単純に楽しめるということは経験上ありませんので、最近は遠ざかっています。


尊敬していた田中さんが亡くなられてしまい、1万分の1の精度での調整が出来なくなり、1万分の1の精度で調整されたアームでの再生を体験している私にとっては、その精度を持っていないトーンアームでの再生はとても満足できるものでは無いのです。その後もいろいろなアナログ再生を聴いていたのですが、あの音が出ないのです。満足できず苦しいものになりました。そのようなこともあり、アナログ再生から遠ざかってしまいました。


それに比較するとCDは未だ儀式が少ないのですし、ライフサウンドで体験された方は御存知の事と思いますが、ディスクを調整する方法があるので音質がかなり変わる様にもできます。それを聴いて頂くと無理にアナログに拘らなくても良いのではと思って頂ける方もおられました。またそれまで不満だったCD再生を受け入れられた方もおられました。


そして、最近はHAP-Z1ESが一番のお気に入りとなってしまいました。



リッピング作業が最初は大変ですが、慣れてしまうと何でもなくなり、回転系の持つ問題もなく、さらにアナログ再生に近い情報量を楽しめますので。

最近ではアシスタントの妻が積極的にHAP-Z1ESによる再生を楽しむようになりました。その理由は音が良いのとipadで簡単に選曲出来るからだそうです。


あれこれと呟いて来ましたが、趣味の世界の問題ですので、好みが違うことがあります。

どれが一番かという話はあるようで無いようなものです。

自分が楽しければ、それが一番良いということです。

他の人と比較しても意味がないようなものですね。

最終的な結論は音楽再生は楽しい!素晴らしい!ということです。


今回の呟きは店主の経験の一部です。このLPやCDの再生の部分だけに焦点を当てていますが、音楽再生はその点だけで語ることは一面的に過ぎません。

その点をご理解頂けると幸いです。







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