純粋性
更新日:2020年1月6日
先日、大変厳しいお仕事をされている既納先のお客様から「 音楽に想いを馳せるとき、ごく自然に入っていける音」とライフサウンドの音の評価を頂きました。
これは大変光栄な評価で店主もさらに自然に再生音楽を楽しんで頂けるようにと心を引き締めた次第です。
思えば音楽や音との付き合いは長いもので幼少期よりありました。
店主はこれまでの人生で死線を彷徨ったことが6度ほどありました。
一番最初は3歳ぐらいの時です。古い当時の家の2階から、当時、父が飼っていたシェパードを見ていたのですが、手すりにつかまって見ている内に地上へ落下してしまいました。
たまたま1階の庇に当たり、次に犬に当たったので助かったようです。
犬が私の顔を舐めてくれていたのをうろ覚えですが覚えています。
次は小学3年生の始業式の日に、帰宅後一人で過ごしていたのですが、熱が出ていて気持ち悪いのでガムを噛んで誤魔化していました。その内寝てしまったら、ガムが気管に入り呼吸困難になり、病院で背中叩いてもらいガムは気管から出て呼吸が出来るようになりました。
その結果、気管に異物が混入したことから急性肺炎になりました。体温計は確か43度を振り切っていました。母親は風邪拗らせたぐらいに軽く考えていたようですが、近所のお医者さんは「私の手には負えない!!奥さん救急車!」と言ってくれたのですが、母は救急車を呼ぶのが恥ずかしいとのことでタクシーで病院に運ばれました。
病院で診察を終え、診察台の上で寝ていると衝立越しに担当医と母の会話が聞こえてきました。「全力を尽くしますが助かるかは分かりません。」との担当医の声が聞こえてきました。
するとその声が聞こえた時に不思議なことに「僕は死なないよ。」と心の声が聞こえたのです。それで安心してストレッチャーに乗せられて病棟に運ばれました。
その時の振動が気持ちよく気を失いました。 それから1週間意識不明だったそうです。
それから意識を取り戻してから入院生活が始まりました。寝ているだけで暇で、
親に頼んでラジオを置いてもらいました。
消灯後森山良子の番組のオープニングに「この広い野原いっぱい」を聴いていたり、オールナイトニッポンのテーマ曲「Bitter Sweet Samba」を良く聴いていました。
「ハーイ」と始まる糸居五郎さんの声を聞いて何故か安心していました。オールナイトジョッキーか今でははっきりしませんが、自分ではオールナイトニッポンと思っています。
そのような入院生活をしているとラジオの宣伝で河出書房太平洋戦記前12巻と言う宣伝があり、父に頼んで、その本を取り寄せました。
子供には難しい部分もあったのすが、実戦経験のある元軍人だった筆者たちの言葉には重みがあり、南方戦線での苦労などが書かれていました。
その苦労をされた兵隊さんたちに比べたら屋根もあり、薬もあり、綺麗なベッドで寝ていられる自分は何と幸福なことだろうと思い知らされたものでした。マラリア、デング熱などで
苦しみ、碌な補給もなく栄養が取れないで死んでいった兵隊さんに比べたら自分は幸せだ。
と自分に言い聞かせていました。戦争で苦しい思いをした人々と病気で苦しんでいる自分が重ね合わせ易く純粋に彼らの思いを体感していたような時間を過ごしていました。
子供なので純粋性が高いので共鳴していたのでしょう。
そんな経験が音楽を聴くにも役立っているように感じています。
以前も書いたと思いますが竹内まりあさんの「返信」を聴くとその時代に生きた人たちの気持ちが伝わってくるのですね。
太平洋戦争時、回天特別攻撃隊で出撃した若者の姿を描く「出口のない海」と言う映画の為に作られた曲ですね。恋人を失った女性の気持ちを歌い上げる名曲であると思います。
この曲を聴く時如何に純粋な心が大切かを思い知らされます。この曲の描かれたようなカップルは同時沢山おられたことでしょう。そのすべての人たちへの鎮魂歌の様に店主は感じてしまうので、余計にオーディオ機器が、邪魔をしては不味いだろうと感じています。
Comentarii