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継承される音の美学 ― ROTEL 60年の軌跡

序章:一人の情熱から始まった、純粋なる探求

 

ROTELの物語は、創業者・立川朝樹(Tomoki "Tac" Tachikawa)の揺るぎない情熱とともに幕を開けました。1950年代初頭、米国シルバニア社製テレビの日本導入に端を発したその歩みは、単なるビジネスの枠を超え、「優れたエンジニアリングこそが、感動を届ける唯一の道である」という確信を育みました。

1961年、高品質なオーディオコンポーネントの造り手として再編。世界に名を馳せる数々のブランドのOEM設計を手掛けながらも、私たちの視線は常に、自らの名を冠した「理想の音」の実現へと注がれていました。

 

 

 

 

 

 

哲学の転換点:スペック至上主義への静かなる抵抗

1970年代後半、オーディオ市場は過剰な機能競争と、数値上のスペックを競い合う「マーケティング戦争」の渦中にありました。しかし、ROTELは敢えてその奔流から距離を置きました。

「音楽の真実を語るのは、華美なグラフではない。耳に響く感動そのものである」

1979年、私たちは自らのルーツに立ち返り、使命を再定義しました。目指したのは、虚飾を排した「音楽的な正確さ」、そして何十年も使い続けられる「揺るぎない品質」。この時、ROTEL独自の質実剛健なスタイルが確立されたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                     当時の工場での製作風景

 

英国との共鳴:感性と技術のクロスオーバー

1980年代、日本の精密なエンジニアリングと、英国の豊かな音楽的感性が融合します。1982年に誕生したインテグレーテッドアンプ「RA-820B」は、英国の厳格な評論家たちから絶賛を浴び、ROTELの名を世界のオーディオファンに刻み込む金字塔となりました。以来、私たちの製品開発には、回路設計の徹底したレビューと、数え切れないほどのリスニングセッションが不可欠な儀式となっています。

 

イギリス関係者と記念撮影 1列目右から5人目が創業者立川朝樹氏 2列目右から3人目現ローテル商事株式会社進藤社長

 

核心:生命力を司る「自社製トランス」の矜持

オーディオ機器の心臓部は「電源」であり、その質を決定づけるのは「トランス」です。ROTELは、この極めて重要なパーツを既製品に頼ることを潔しとしませんでした。

 

 

私たちは多大な投資を行い、独自の「トロイダルトランス」を自社製造するノウハウを確立。厳選された純銅線、不純物を排した鋼材を用い、熟練の職人が一巻きずつ精緻に造り上げるトランスは、クリーンで歪みのないエネルギーを回路の隅々にまで送り届けます。この「妥協なき電源」こそが、ROTELの音に深い静寂と劇的なダイナミズムをもたらすのです。

 

 

 

私たちの目指すゴールは明快です。それは、音楽や映画が持つ「感情」を、ありのままに解き放つこと。

物理学、電子工学、そして機械工学の規律ある統合――。私たちが『バランス・デザイン・コンセプト』と呼ぶその思想は、厳選されたパーツの選択、無駄を削ぎ落とした回路トポロジー、そして何よりも人間の耳による評価を三位一体とすることで、個々の部品の合計を遥かに超える「芸術」を創造します。

60年以上にわたり磨き上げられてきた、ROTELの音。 それは、アーティストが意図した「真実の響き」を希求するすべての人への、私たちからの答えです。

            「バランス・デザイン・コンセプト」の三つの柱

1. 厳選されたコンポーネント ― 響きを司る素材の吟味

優れた音響機器の設計は、最高級の素材を揃えることから始まります。しかし、高価なパーツを並べるだけでは「音楽」は生まれません。 ROTELのエンジニアは、世界中のサプライヤーから届く無数のコンポーネントを、まるでヴィンテージワインをテイスティングするかのように厳格に審査します。コンデンサー、抵抗器、半導体――。数値上のスペックが同等であっても、音に宿る生命力は一つひとつ異なります。私たちは、回路の各セクションにおいて最も音楽的に機能する「真の一品」を、執念深く選び抜きます。

 

2. 回路トポロジー ― 信号に純粋さを与える緻密な設計

どれほど優れたパーツも、その配置(トポロジー)が洗練されていなければ真価を発揮しません。ROTELの回路設計は、信号の鮮度を損なわない「最短距離」と、相互干渉を排した「対称性」へのこだわりに基づいています。 私たちは、単に回路を引くのではなく、電子の流れが最も美しく、自然に振る舞えるような「音の回廊」を設計します。左右のチャンネルを鏡合わせのように配置するシンメトリカルな設計や、ノイズを徹底的に遮断するグラウンド配置。その細部への偏執的なまでのこだわりが、広大な音場と緻密な定位感を生み出すのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. クリティカルな評価 ― 最後の審判は、人間の「耳」に託される

最新の測定器でも捉えきれない、音楽の「機微」があります。設計の最終段階において、最も厳しい審判を下すのは、研ぎ澄まされた感覚を持つ人間の「耳」です。 イギリスの専門施設をはじめとするリスニングルームにて、数え切れないほどの試聴を繰り返します。ピアノの打鍵の微かな消え際、バイオリンの弦が震える空気感、歌手の吐息。それらが完璧な調和(バランス)を持って響くまで、私たちは決して歩みを止めません。科学と感性が高い次元で融合したとき、初めてその製品に「ROTEL」のエンブレムが刻印されるのです。

 

 

 

 

 

エピローグ:時代を超えて愛される理由

ROTELの製品が、30年以上の時を経てもなお、世界各地のリスニングルームで現役として愛され続けている理由。それは、私たちが「流行」ではなく「普遍」を、そして「製品」ではなく「作品」を世に送り出してきた証でもあります。

手頃な価格の中に、ハイエンド・オーディオの魂を宿す。 この不可能とも思える挑戦を続けてきたROTELの歴史は、これからも、音楽を愛するすべての人々の傍らで刻み続けられます。

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