25年ぶりのクラシックギター
9月30日、中古ですがクラシックギターを迎え入れました。
2017年製のホアン・エルナンデス、トーレスモデルです。実際に製作したのは、息子のアルベルト・エルナンデス。黒澤楽器の創立60周年記念に販売された希少なモデルで10台ぐらいしか生産されなかったようです。

クラシックギターを弾くのは、実に25年ぶりのことです。 久しぶりに手にする名器に胸を躍らせ、さっそく爪弾いてみたのですが……。
驚くほど、指が動かない。(当たり前か!?)
昔は手に馴染んでいた「魔笛」も、「アラビア風綺想曲」も、「アルハンブラの思い出」も、「カヴァティーナ」も、思うように奏でることができない。
譜面を開いても、すんなり読めるところと詰まってしまうところがある。右手も左手も特に、薬指の筋力がすっかり衰えており、左手の指先も柔らかくなっていて、弦を押さえると肉がへこんで弦の姿を映し出すのです。(汗)
アルペジオ程度ならなんとか形になるものの、昔の感覚とはあまりにもかけ離れている。 まるで絶望の谷へ突き落とされたような気持ちに。
25年という月日の長さと重みを、改めて痛感させられた瞬間です。 そして同時に、ウクレレでは決して補うことのできない、クラシックギターならではの奥深い世界があることを思い知らされました。
しかし、せっかく手に入れた名器に対して、この状態ではあまりにも申し訳ない。 拙い演奏を聴かされ続けていては、ギターの心まで傷ついてしまうのではないか……そんなことまで考えてしまいました。
そこで思いついたのが、「世界の名手たちの演奏を、このギターに聴かせてあげる」ことです。
まずは、トーレスの真髄を知る松田晃演先生の演奏から。 Great16KINGから流れる音を、毎日1時間、静かにギターへと聴かせてあげることにしました。
世界の名手の響きを身体に浴びせることで、私のボロボロになった技術を立て直すために、その間、ストレスを受け続けるギターを癒してあげようと思ったのです。
実は以前、グランドピアノでも同じような試みをしたことがあります。 また、神木社のメンバーも自作のスピーカー「ベラボーチェ」を使い、ヴァイオリンなどの楽器に音楽を聴かせる実践をしていました。
そうして、音楽を流していると、やはり音のリアルさが劇的に変わります。 Guitarも嬉しそう!!!
今回もGreat16KINGから音を再生してみると、特に4弦から6弦にかけての低音に、圧倒的な存在感が立ち現れました。 単に「低音が豊か」「量感がある」という表面的な話ではありません。 そこに「本物の弦の音そのもの」が存在しているのです。この空気の震えと実体感は、何とも嬉しいう体験でした。

そこでふと、「この場所からギターを取り去ってしまったらどうなるだろう」と思いました。 それはきっと、「出汁の入っていない蕎麦つゆ」のようなものでしょう。
音楽を再生するスピーカーと、そこに佇む本物の楽器。 その双方が同じ空間に存在し、空気を介して共振・共鳴することで、音の真価が立ち現れる。 すべての物質が振動し合い、共鳴するからこそ、楽器に本物の音楽を聴かせる意味があるのだと確信しました。
さて、毎日1時間、世界の名手たちの響きを吸い込んだギターは、これからどんな音色を聴かせてくれるのでしょうか。
そして、25年ぶりにギターにふれ、私が再び心を通わせて音楽を奏でられる日は来るのか!?
まずは、この愛おしいギターにエライ思いをさせるのですから必ず癒しの時間を作ることにしました。




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