必需品!
- lifesound
- 6月25日
- 読了時間: 5分
デジタル時代において「アナログ再生」というと、一般的にはレコード盤再生のことだと思われている傾向があります。これは店主の思い込みかもしれませんが……。
私たちアナログ再生をリアルタイムで体験している世代にとって、デジタル(CD)再生が始まった当初の音は、かなりの違和感がありました。最近でこそデジタルもかなり良い感じになってきましたが、とはいえ完全に納得できているかというと、「まあ、時代だから仕方ないな」と許しているようなところもあります。
店主がこのオーディオの道に進んだとき、私の義理の兄が大変なレコードマニアでした。
彼は常に「超・貴重な盤」を100枚限定と決めてコレクションしており、新しい盤を手に入れると既存の盤と徹底的に聴き比べ、レベルが低いと判断したものはすぐに手放していました。たまにコレクションの入れ替えを楽しんでいたようです。そのお陰で、私もかなり素晴らしい盤を譲ってもらったりしていました。
それを見ていて「実に面白い趣味だな」と思う反面、当時はレコード盤がどんどん入手しにくくなっていた時期でもありました。「なんとかCDで、あのレコードのような深みのある再生レベルを出せないだろうか?」ーーそう思い立って始めたのが、私の今の仕事の原点の一つでもあります。
その挑戦の途中で、フィデリックスの中川さんが開発された「ハーモネーター」が生まれ、CD再生の強力な援軍となってくれました(当時、中川さんには大変お世話になりました)。 しかし、気がついてみると、いつの間にかハーモネーターを使用せずに再生している自分がいます。実は、なぜ使わなくなったのか、その経緯を全く覚えていないのです(汗)。
当時、私がさらに問題視していたのが、CDの「帯電」、「帯磁」、そして「レーザー光の乱反射」でした。これらが音質に与える影響は凄いものでした。
まず「レーザー光の乱反射」対策は、開店当時から行っていました。当時使っていた『CD STOP LIGHT』という緑色のペンは大変な効果があり、低音域の改善など素晴らしいものでした。残念ながら生産が終わってしまいましたが、現在は後継となる製品があるので、そちらで代用しています。
「帯磁」については、日本オーディオのWさんからの提案で、オープンリールなどのテープデッキに使う「ヘッドイレーサー(消磁器)」を流用して、CDに帯びた磁気を消磁していました。
ある時、オーディオアクセサリー誌の取材で、とある高名な評論家先生のお宅に伺った際、どうにも磁気を帯びたような再生音になっていたため、現場でその消磁を提案し、試聴していたCDに試させていただきました。すると、先生自身も諦めかけていた愛機からの再生音が、見事に一変して復活したのです。
この劇的な変化に同行していたアクセサリー誌の記者が、記事の中でこのエピソードを何気なく書かれました。
その後、あるメーカーから『DISC DEMAGNETIZER RD-1』という製品が発売されたのです。それを見た店主は、「もしかして真似されたのかな?」と思い、実際に開発されたご本人にお電話をして直接確認をしてみました。すると、やはりあのアクセサリー誌の記事を読んでヒントを得て開発されたとのことだったのです。
これによって「理解者が増えた」と思い、ライフサウンドでもRD-1の販売をさせてもらうことになりました。
一方「帯電」については、ライフサウンドでもオリジナル製品を作って対策していましたが、これもいつの間にか生産を中止しました。なぜなら、その製品よりも圧倒的にコストを安く抑えられる、別の素晴らしい方法を見つけたからです。
当時はこれらが間違いなく「必需品」でした。しかし、のちに店主は『RD-1』の使用を止めてしまうことになります。理由は、磁気が強すぎると「CDの蒸着面に悪影響を与える」というユーザーからの指摘があり、店主もテストを重ねてみたところ、確かに音がヒリヒリとした質感になってしまったからです。
仕組みとしては、交流によって発生する磁界(交番磁界)の力を利用してCDの磁気を消し去るというもので、消磁効果そのものは素晴らしいものでした。しかしその強力さゆえに、CDの「50ナノメートル程度」という目に見えないほど極薄のアルミ蒸着面に「渦電流(うずでんりゅう)」が発生し、ミクロの熱ストレスによる歪みが生じてしまうようでした。それが結果としてレーザー光の乱反射や位相の乱れを誘発し、高域のキツさ(ヒリヒリ感)に繋がっていたのです。
大切なCDへのダメージを考えると、残念ながら当時の店主としては諦めざるを得ませんでした。現在のモデルの影響については確認をしていないので何とも言えませんが、当時の初期型においてはそのような素晴らしい消磁効果と裏腹の葛藤があったのです。

▲ チューニングが終わりテストも無事終了、納品待ちのSonic Corrector
そして、現在。 デジタル再生や配信が主流となった今の時代において、新たな「必需品」となったのが、TOP WINGさんの『SonicCorrector(ソニック・コレクター)』です。
現代のデジタル録音には特有の問題があります。本来デジタルが持っているはずの広いダイナミックレンジを活かせず、音圧ばかりを上げた、いわゆる「海苔(のり)波形」と呼ばれる状態で録音されている音源が少なくありません。
それによって、CDやデジタル再生が本来届くべきだった「理想の姿」が失われてしまっているのです。
時代と共に技術や録音の環境は変わっていきますが、ライフサウンドではこれからも、「音楽の感動を深めるため」に本当に必要なものを見極めながら、ご紹介していきたいと思っています



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