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オンジーシェクの「ř」 — 音として残った響き

  • lifesound
  • 2 時間前
  • 読了時間: 4分



「このCDは元々販売目的で制作したものではなく、デモ音源として記録目的だったものです。ただ、あくまでラフな音源で、販売用ほどのノイズをきれいに消すなどの作業は

出来なかったので、ピアノ椅子の音などは入ってしまっています。

音楽の流れを止めないことを重要視したので、多少のノイズが入っていますがその分

音楽が生きている演奏になっています。」と山﨑さんからのご説明を頂いたCD。しかし、その中にはとても貴重な音源が録音されています。

それは世界初録音の存在です。さらに演奏者が素晴らしい音楽を聴かせてくれています。

そこで世界初録音の曲について少々呟きます。


今回、山﨑千晶さんと杉林岳さんの共演で、フランティシェック・オンドジーチェク作曲《バルカローレ》を録音しました。自分なりに調べた範囲では、この曲の録音は見当たらず、おそらく今回が初めて音として残されたものになると思います。


世界的も初ではないでしょうか?




Wikimedia Commons / František Ondříček


ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を聴いていると、ずっと気になっている音があります。チェコ語の「ř(ルジェ)」です。


この協奏曲は、当時の大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムに献呈された曲ですが、結局、彼が演奏することはありませんでした。理由はいろいろ言われていますが、きちんと整ったドイツ的な美しさとは少し違う、この曲の自由な感じが合わなかったのかもしれません。


そこで初演を担ったのが、フランティシェック・オンジーチェクです。1883年、プラハでの初演は大成功だったそうです。彼はこの曲の中に、ちゃんと“チェコの音”を聴いていたんだと思います。


日本でチェコ音楽を広めた山﨑さんは、この名前を「オンジーシェク」と書きました。(フランティシェックも山﨑さんから教えていただきました。)

チェコを中心にヨーロッパで長く活動していたヴァイオリニストでもある方なので、この表記は単なる当て字ではありません。



     (画像出典:Wikimedia Commons / František Ondříček)



そもそも今回録音した《バルカローレ》の楽譜も、山﨑さんがチェコのオロモウツ(Olomouc)の市立図書館で手に入れてきたものです。ただ、山﨑さんご本人はこの街の名前を「オルモフ」と発音していました。一般的な表記とは少し違いますが、現地の響きに耳を慣らしていくと、むしろそのほうが自然に感じられてくるのが不思議です。

たとえば、私たちが「ドボルザーク」と呼んでいる名前も、チェコ語の発音で捉えると「ドヴォジャーク」に近くなる。「オンジーシェク」という響きも、同じ耳から生まれているのだと思います。


オンジーシェクの演奏は、いわゆる雰囲気で聴かせるタイプではありません。余計なことをせず、音を作りすぎず、楽譜にあるものをそのまましっかり鳴らす。でもそれが不思議と、しっかり歌って聴こえる。

あの独特の間や節回し――ボヘミアの語り口のようなものが、自然に立ち上がってくる感じです。

技巧的にも「パガニーニの再来」と言われた人ですが、まったく力んだ感じがありません。難しいことをやっているのに、それを感じさせない。その余裕が、そのまま音の美しさになっているように思います。

特に印象的なのがボウイングです。チェコ語の「ř」って、少しザラっとした摩擦と響きが一緒にある音ですが、彼の弓もまさにそんな感じで、スッと立ち上がるのに、ちゃんと芯が残る。

山﨑さんが書いた「オンジーシェク」という響き。語尾がスッと抜けるあの感じ、少し乾いた鋭さ。その中に、ドヴォジャークのゆっくりした楽章で出てくるような、深い音の気配がある気がします。

今回録音した《バルカローレ》にも、そういう感覚は確かにあります。音の出だしや消え際に、ほんの少しだけ引っかかるようなニュアンス。でもそれがあることで、ただ綺麗なだけじゃない、奥行きが生まれる。

これまで記録として残っていなかった音を、今回こうして形にできたことには、やはり意味があると思っています。

静かなところでこの曲を聴いていると、名前の奥にあった音――「オンジーシェク」という響きが、少しだけ見えてくる気がします。


山﨑さんの使用ヴァイオリンはヴァイオリンは、ボローニャのジョヴァンニ・トノーニ

杉林さんの使用ピアノはスタインウェイ&サンズ

 
 
 

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ちょっと楽しみなこと実現しました。

ヴァイオリニストの山﨑千晶さんのお陰で、特殊なCDが入手出来ました。 ピアノの音以外に椅子のノイズが入っていると言われたのですが、それほど気になりません。また生々しく、ソリッドなトーンです。 杉林岳さんの共演で山﨑さんもノリノリの演奏を聴かせてくださいます。 「このCDは元々販売目的で制作したものではなく、デモ音源として記録目的だったものです。ただ、あくまでラフな音源で、販売用ほどのノイズをきれい

 
 
 

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