笑うしかないSONO2
- lifesound
- 17 時間前
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前回のブログ『笑うしかない』では、「極みシリーズ」や「Sonic Corrector」によって再生装置側の壁を越えた先にある、録音ソフトそのものが抱える「時代や加工の壁」についてお話ししました。
装置の限界を取り払うことで見えてきたのは、私たちがこれまで「良い音」と信じ込んできた音源の多くが、当時の再生環境や商業的な都合に合わせて「意図的に聴きやすく加工された音」であったという衝撃的な真実でした。
しかし、私たちはそこで探求の手を止めたわけではありません。
「では、加工される前の、そのホールで真に鳴っていた音とはどのようなものなのか?」この疑問を解き明かすべく、ライフサウンド川越研究所のM所長とともに、さらなる深層へと足を踏み入れました。
私たちが今回、特に徹底して注目したのが、コンサートホールにおける「エアボリューム(空間容積)」と、そこに存在する「空気中の水分量」が音に与える物理的影響です。
リアルな「ホール感」や「空気感」の再生とは、単に残響成分が長く響くことではありません。「そのホールの容積に存在する膨大な空気が含んでいた水分を通した音」が、正しくマイクに捉えられ、そのまま再生されているかどうかにかかわっているのです。
当然、録音が実行された当日の気温や湿度環境が極めて重要なキーとなります。
ここで一つ、具体的な例を挙げてみましょう。世界的名演の舞台となってきたニューヨークのカーネギーホール(メインホール:アイザック・スターン・オーディトリアム)の数値を紐解いてみます。

ホールの容積:約 24,250 m³(約 856,000 立方フィート)座席数(2,790席)に対する1席あたりの空間容積は約 8.6 m³ であり、シンフォニーホールとして理想とされる音響設計(8〜11 m³/席)に収まっています。
この約 24,250 m³ という広大な空間に、一体どれほどの「水分」が存在しているか計算されたことはありますでしょうか。
① 標準的なホール空調管理状態(室内推奨環境:温度 20℃ / 相対湿度 50%)20℃における飽和水蒸気量:約 17.3 g/m³空気1 m³あたりの水分量:$17.3 \times 0.50 = 8.65\text{ g/m³}$ホール全体(24,250 m³)の水分量:$$24,250\text{ m³} \times 8.65\text{ g/m³} \approx209,762\text{ g} \approx \mathbf{210\text{ kg}}$$つまり、
空調が効いた理想的なホール内には、およそ 210 リットル(ドラム缶約1本分) もの水蒸気が空気中に漂っていることになります。
② ニューヨークの外気平均に近い状態(温度 15℃ / 相対湿度 62%)15℃における飽和水蒸気量:約 12.8 g/m³空気1 m³あたりの水分量:$12.8 \times 0.62 = 7.94\text{ g/m³}$ホール全体(24,250 m³)の水分量:$$24,250\text{ m³} \times 7.94\text{ g/m³} \approx 192,545\text{ g} \approx \mathbf{193\text{ kg}}$$外気平均に近い環境であっても、およそ 193 リットル の水分が空間を満たしています。
音響物理の世界において、高域の音波(特に 2 kHz 以上)は空気中の水蒸気によって自然に吸収・減衰されるという明確な特性があります。つまり、ホール内に存在する「ドラム缶1本分もの水分」こそが、バイオリンの滑らかな伸びや余韻の消え際、オーケストラ全体を包み込む音のテクスチャー(質感)を直接左右しているのです。

では、私たちが普段聴いている録音音源に、この「ドラム缶1本分の水分を含んだリアルな空気の音」は正しく刻み込まれているのでしょうか?それとも、当時のモニター環境や聴きやすさを優先した処理によって、その繊細な水分感=空気のテクスチャーが削ぎ落とされ、歪められてしまっているのでしょうか?
ライフサウンド川越研究所のM所長とともに、この「ホールの容積と水分」という観点から名盤から各種音源までを徹底的に「掘り下げ」、検証を行いました。そして、意図的に加工された音源を本来の姿に戻してみると、そこに現れたのは空気の密度感であり、そこのホールの空間に生み出された演奏は言葉で表現出来ない存在で、只々笑うしかないのでした。
これが真実なのか!?と。

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