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50年目にして真実のジャニス・イアンに会えた

  • lifesound
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分


1. 秋葉原で始まった物語


私のオーディオ人生は、大学1年の春、秋葉原の雑踏の中で産声を上げました。 アナログ全盛期。 日本のメーカーが世界に誇る技術を競い合い、店頭には眩しいほどの熱気が満ちていた時代です。

その空気に当てられた私は、初めてのシステムを組み上げました。 カートリッジは SHURE M95ED。 今思えば、知識も経験もないアマチュアの選択でしたが、 お小遣いをかき集めて手に入れたその一式は、 確かに私を「音楽の入り口」へと導いてくれました。


2. 霧の中のリスニングルーム


振り返れば、当時のセッティングは今の私なら絶対にしないものばかりです。 重厚なラックはスピーカーの間に鎮座し、 左右の側板が音の逃げ場を奪っていました。 部屋に広がるのは、どこか“モワッ”とした曇り空のような音。

それでも私は夢中でした。 限られた小遣いで選んだ一枚── ジャニス・イアン『ジャニスの部屋』。





黒くぼかされた背景、 内省的で、どこか寂しげな彼女の歌声。 あの頃の未熟なシステムでは、 彼女の孤独の影をなぞるのが精一杯だったのかもしれません。


3. 50年をかけた「解答」


そして2026年。 あれから50年という歳月が流れました。

今の私は、 当時の自分には想像もできなかったほどの“音の世界”にいます。


  • アナログ:THORENS TD1600 + MCHI T5S2

  • カートリッジ:中電 MG3697ベース、エボニー製ボディ&ヘッドシェルを自作

  • 配線:SUPERNATURAL 極+(RCA/SPケーブル)で統一



これは、私が半世紀かけて積み上げてきた「答え」の結晶です。

そのシステムで、 50年前のあのディスクに再び針を落としました。


4. 霧が晴れ、彼女が“現れた”瞬間


音が出た瞬間、私は息を呑みました。

かつての曇った世界は跡形もなく、 そこに広がったのは、 圧倒的に透明で、奥行きのあるサウンドステージ。

驚いたのは、 スピーカーの間に浮かび上がったジャニスの歌声の“若さ”です。 50年前よりも、今のほうが彼女の生命力が鮮やかに伝わってくる。

ギターのスチール弦が弾ける瞬間の輝き、 その余韻が空間に溶けていく様子── 言葉では到底言い尽くせません。


5. 納得、そして静かな感動

50年目にして、ようやく私は 「本当のジャニス」に出会えたのだと思いました。

あの黒くぼかされた背景の向こう側に、 これほど豊かで、瑞々しい世界が隠れていたとは。


オーディオとは、 単なる“音を出す機械”ではありません。

一人の表現者がディスクに刻んだ“生命の鼓動”を、 何十年もの時間をかけて紐解いていく── そんな壮大な対話なのだと、改めて感じています。

50年前の自分に、 「続けてきてよかった」と胸を張って伝えたい。

そして今、 新鮮な彼女の歌声に包まれながら、 店主のオーディオライフは新しい章へと歩み始めました。


 
 
 

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