OPUSについて色々質問SONO2
- lifesound
- 2 日前
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大変貴重なアルバムであるOPUSの演奏者である杉林岳さんと杉林貴子さんに質問をさせて頂いておりますが、今度は伴奏者である杉林岳さんに色々と質問をさせていただきました。
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OPUSについての岳さんへの質問
Q1 このアルバムの制作動機について教えてください。提案者や目的なども
A1 母の返答とほぼ同じです。きっかけは、母とのコンサートの折に、たくさんのお客様から強い要望があり、「確かに二人のCD作ってなかったね」ということで、製作するに至りました。
Q2 岳さんはウィーン市立音楽芸術大学のリート・オラトリオコレペティション科修士課程、器楽コレベティション科修士課程、並びに室内楽大学教育課程を首席で卒業されていますが、それぞれの課程で学ばれたかった目的や課程で学ばれた内容を簡単に教えてください。
A2 母の影響や桐朋学園時代で得た声楽伴奏の経験から、ドイツ・リートの世界を追究したいと感じていました。ウィーン市立音楽芸術大学(MUK)のリート&オラトリオ・コレペティション科では、ドイツ・リートとオラトリオの分野で、歌手とペアになって伴奏法を学んだり、歌手に対して発音や解釈のアドバイスのノウハウを学びました。
器楽コレペティション科、並びに室内楽大学教育課程では、指揮者や様々な器楽奏者と密接に関わり合いながら、音楽的な表現やスタイルを理解し、アンサンブル能力とサポート能力を身につけることを学びました。
Q3 Live in Osakaではソリストとしての岳さんの演奏を聴かせて頂きました。
OPUSでは伴奏者としての岳さんの演奏を聴く事ができます。
ソリストと伴奏者において演奏で注意されている点について教えてください。
A3 純粋なピアニスティックな技術としては大きくは異なりませんが、伴奏者は文字通り「伴って」奏されなければなりません。時には寄り添い、時には導いたりする能力が問われます。それには共演者の性格や呼吸に合わせて、俯瞰して演奏するスキルが必要となってくるでしょう。そういった意味では、「伴奏者」という言葉は幾らか「付随している」ようなイメージがありますが、楽曲の魅力と共演するパートナーの潜在能力を引き出す重要な役割であることには変わりないのです。
Q4 Q3の質問に続くことですが、伴奏者としてご苦労があれば教えてください。
A4 共演者において、技術的に未熟な方はまだ良いのですが、自分よりも人間的に未熟な方と仕事をする場合は、大いなる苦痛が伴います(苦笑)。それでも、感謝の気持ちとともに、自分自身が「人間的に成長するための糧」として捉えることによって、音楽家として成熟できると考えています。
Q5 ウィーンで本格的な学びをされている岳さんです。ウィーン現地における伴奏者と日本人の伴奏者の違いなどあれば教えてください。
A5 ウィーンでは、伴奏者としてステージに立つだけでなく、様々な教育機関やオペラハウスなどで指導・サポートを行うコレペティトールとしての機会もあり、重要な仕事として捉えられています。
それに対し、日本では確かにコンクールやオーディションでの公式ピアニストや合唱団の伴奏、オペラの練習伴奏などのキャリアを積む機会はありますが、ウィーンと比較するとまだまだ少ない印象です。
また、ウィーンの音楽大学ではコレペティトールが指導する時間が設けられていますが、日本ではそもそも嘱託伴奏員といった立場しかなく、コレペティトールによるレッスンが行われていません。
室内楽コースがあるのもウィーンの音楽大学の特徴で、ソリストとしてのテクニックだけでなく、アンサンブル能力を磨く機会も得られます。日本の音楽大学では、室内楽の授業はありますが、基本的にソリストとしての教育に重きを置いている傾向が見られます。
Q6 伴奏者として御母上の歌の伴奏は難しいですか?それとも意思の疎通や経験から伴奏者としてのストレスは無かったのでしょうか?
また、伴奏者として御母上の歌はどのようにかんじられていました?
A6 母との演奏で、いかなる状況でも特にストレスは感じません。少年の頃から何げなく母の伴奏をしていたおかげで、呼吸の大切さを学んでいた気がします。
日本人の女性歌手の人口の割合からみても、本質的なアルトの絶対数は少ないと思いますので、そういった意味においても彼女の深く艶やかな声は類い稀なる才能であるでしょう。
Q7 今回のアルバムでの演奏に使用されたピアノはどこのメーカーですか?また調律師の方は、当然、専属の方ですか?
それともホール専属の方でしたでしょうか?
A7ベーゼンドルファー社です。調律はビーテック・ジャパンの菊池和明さんにお願いしました。B-tech Japan | B-tech Japan ビーテックジャパン
Q8 今回のアルバムでの録音において苦労されたことはございましたか?
A8 二日間という限られた時間の中で、歌手はコンディションを調整しながらのレコーディングでしたので、苦労しているようでした。また、ホールの響きを考慮しながらでしたが、マイクに向かって歌うのに慣れる必要があり、声量の調節を要求されると困惑は隠せない様子でした。
朝から録音して、母はだんだんと喉があったまってくるので夕方頃に向けて調子が上がってくるのですがピアニストは寧ろ逆で(笑)。
ピアニスティックな曲を何テイクも録音していると集中力が低下してくるので、母の調子が上がってきたころに私は横になっていることもありました(笑)。
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